第十七回 生存権保障のシステムとしての地域包括ケアの基盤強化を
来年度の介護報酬改定では地域包括ケアの基盤強化が謳われ、医療ニーズの高い高齢者への在宅サービス、介護保険施設のサービス強化が挙げられています。今回は医療ニーズの高い高齢者の事例から問題点を考えます。
Aさんは80歳・男性・生活保護受給・肺気腫の為在宅酸素、要介護2です。10年前より、介護保険サービスを利用してアパートで一人暮らしをしています。30年程前に妻子の元を離れ音信不通となり、10年前に某病院への入院がきっかけで、息子さんには連絡が取れるようになったものの、息子さんは「関わりを持ちたくない」と拒んでいました。
Aさんは訪問看護を週2回、ヘルパー支援を週3回受けています。在宅酸素利用者特有の不定愁訴や一人暮らしの不安から体調を崩しがちで、数箇所の病院の入退院を繰り返していました。不安解消の為、デイサービスの利用にも挑戦しましたが、環境適応が難しく継続できませんでした。担当医からは施設入所を勧められていました。ご本人とも「施設の申し込みをしましょう」と相談し、息子さんに保証人になってもらえるように連絡することを勧めました。そんな折、春頃より物忘れや妄想が出現するようになりました。保護課担当者と一人暮らしが困難な状況を共有し、施設入所の準備を進める事としました。ケアマネが施設申し込みを支援し、息子さんとの連絡調整は保護課が行いました。特養は申し込めましたが、老健では在宅酸素利用者は管理ができないと断られました。息子さんの協力も得られず、手続きは進みませんでした。夏に入るとAさんの物忘れ妄想、不定愁訴は更に多くなり、呼吸困難も出現し救急入院となりました。退院後の生活場所について、ご本人、入院先医療連携担当者、生活保護課担当者と相談し、長期療養病棟の申し込みをすることにしました。体調の回復を待ち一旦自宅退院した後、9月中旬に長期療養病棟への入院が実現しました。これで、Aさんの療養(生活)場所が決まり、本人、関係者とも一安心しました。Aさんは一人暮らしと言う背景はあったものの、介護保険制度の下では在宅生活の継続はできず、介護保険施設の利用も出来ませんでした。地域包括ケアシステムの基盤強化についてはAさんの様な利用者も安心して生活できる内容にしていかなければなりません。
(共立居宅介護支援事業所ほほえみ)
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