ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

いのちをみる-2014

3私は、看護師8年目(2010年)で慢性疾患看護専門看護師の資格を取得しました。専門看護師は現在11の領域があります。“慢性疾患看護”は、とても広い領域なので“急性・重症患者看護”や“がん看護”と比して「わかりにくい」と言われてしまうこともあります。そのためか、若い人たちにはあまり人気がないような気もします。それでも、私が“慢性疾患看護”専門看護師を目指した理由は単純でした。それは“慢性疾患を持っている患者さんが好きである”ということでした。大学院のCNSコースでは、病とともに生きている人(慢性疾患患者さん)の理解や慢性疾患患者さんへの支援方法を学びました。慢性疾患の多くは長い経過をたどるので「長くつき合わなくてはならない」というのが特徴です。初めての診断から、外来通院、病状が不安定になっての入院など・・・、この長い間ずっと関わることができるのが慢性疾患看護の魅力のひとつ、と思っています。現在は、地域連携室で退院調整看護師の仕事をしています。患者さんやご家族からの相談を直接うけたり、カンファレンスへ参加して患者さんやご家族が退院後も安心して療養生活がつづけられるよう、病棟の看護師さんたちと一緒に患者さんのケアについて考え実践したり、ということをしています。そこでも病とともに生きる人を支える、慢性疾患看護の知識が役立っています。また、慢性疾患看護専門看護師はサブスペシャリティ(得意分野)をもっています。私のサブスペシャリティは循環器疾患看護です。資格取得後は、心臓リハビリテーション外来に携わり、医師や理学療法士、栄養士らからなるチームの一員として、週に1回の心臓リハビリテーション外来を担当しています。循環器疾患は、急性心筋梗塞や急性心不全など急性期のイメージを持たれることも少なくありません。しかし、急性心筋梗塞も、治療後は再発予防のための内服継続や食事療法、症状に応じた対処が必要となる慢性疾患、急性心不全も然りです。心臓リハビリテーション外来は、心臓に病気を持った患者さんが、運動療法を中心に、食事療法などの療養生活をその人のペースで継続できるよう、再発予防に向けたサポートを行っています。そこで、私は患者さんとの面談を担当しています。面談では、患者さんのこれまでの生活や病気の体験に耳を傾け、患者さんの心配事に応え、患者さんと一緒にこれからの目標を立てる、ということをしています。外来は週1回しかありませんから、残りの6日間、患者さんは自宅で運動療法や食事療法を継続することになります。私たちは、週1回の外来通院をつづけていくうちに、心臓に病気があっても前向きに療養生活をつづけて少しずつ変化していく患者さんの姿に勇気づけられ、医療者の役割は、一方的に“患者さんに何かをする”ことではない、ということに気づかされます。ここでの医療者の役割は、療養生活の主役である患者さんを中心に、専門的な知識や技術を駆使して、今何が大切で、どんな方法だったら実行できるかを患者さんと一緒に考え、その人が「自分の力で療養生活を生き抜いていくこと」ができるようにサポートし、その人の力を引き出すことです。これらの実践のなかで、私が一番大切にしていることは、“患者さんやご家族の「潜在的な」チカラを信じる”ということです。人間はすぐには変われないし、今日決めたことが明日できない、ということもあります。私もそうです。でも、誰かが信じてくれていたり、待っていたりすることで力が発揮できるのが人間だと思いますし、専門知識や技術を活かしながら、人の可能性を目の当たりにできるのは看護という仕事の魅力だと思います。甲府共立病院地域連携室慢性疾患看護専門看護師武田真弓認定専門看護師の活動人のチカラを信じるしごとムービーを見る