シリーズ 女性の健康 1  「女性とホルモン」

女性のからだには、女性にしかできないこと…子供を産み、育てるという身体の仕組みをつくるために、十代の思春期と呼ばれる時期に、大きな変化が起きます。この変化の主役となっているのが、女性ホルモンです。女性ホルモンは、おもに卵巣から分泌され、卵子や子宮の内膜にはたらいて、月経(生理)や妊娠に深くかかわりますが、その女性ホルモンの分泌を調整しているのは、脳の中心部にある、視床下部と下垂体という臓器から分泌されるホルモンです。また、女性ホルモンは、子宮以外にも脳や心臓、乳房、血管、骨、コレステロールや中性脂肪の調整など、全身の様々な臓器や組織にはたらいています。
女性の健康についてのシリーズの初めとして、今回はホルモンについてお話しします。
 ホルモンは、からだの特定の器官からつくられる化学物質です。その数は約四十種類にのぼり、血液の流れにのって、さまざまな組織や臓器に刺激を与え、情報を伝達するはたらきをしています。
 代謝や食、性機能など、大切な生命活動のコントロールは、このホルモンを介して行われます。ホルモンは、私たちが意識しないところで、心身の状態をバランスよく保つために、なくてはならない重要な役割を担っているのです。
 ホルモンをつくる器官を、「内分泌器官(内分泌腺)」といいます。脳の視床下部や下垂体、甲状腺、副腎、膵臓などのほか、性腺(女性では卵巣、男性では精巣)が、これにあたるところです。
 からだにとって大切なホルモンですが、分泌される量はごくわずかです。それが、少しでも多くなったり、少なくなったりするだけで、組織や臓器は正常にはたらかなくなります。
 このデリケートなホルモンをコントロールしているのが、脳の「視床下部」と「下垂体」です。
 視床下部は、血液中のあらゆるホルモンの分泌量を常にチェックし、異常があれば、すぐに正常に戻す指令を出します。この指令を受けて実際に行動するのが、視床下部のすぐ下にある下垂体です。こうした視床下部と下垂体のコンビネーションによって、私たちのからだの微妙なホルモン濃度は保たれているのです
 次回からとりあげる子宮筋腫や子宮内膜症、また子宮癌、乳癌など女性のがんは、ホルモン依存性の腫瘍といわれています。つまり、女性なら誰にでも起こりうる病気なのです。
 また、月経不順や月経困難症など月経の異常は、多くはホルモンのアンバランスによるものです。更年期症状も、更年期以降の女性ホルモン減少が大きく影響します。

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