シリーズ 女性の健康 2  「不正性器出血」


 不正性器出血とは、月経(生理)以外の性器からの出血をいいます。不正出血の原因は多様ですが、大きく分けてポリープや炎症など、原因となる組織または状態が存在するものと(器質性出血)と、ホルモンの異常によるもの(機能性出血)があります。
 器質性出血では、その組織あるいは状態を取り除かなければ、出血は治まりません。またその状態は病的であることが多いので、不正性器出血がある場合には、まず、この器質性出血ではないかどうか、確認し治療する必要があります。
 この中で生命に関わるもっとも重大な病気はガンです。ガンまで進んでいなくてもその前の状態でも出血はおこります。若い女性でも性行為をすれば、子宮頸ガンになる可能性がありますし、年配の女性で閉経後しばらく経って出血がある場合は、子宮体ガンの可能性があります。ぜひ産婦人科を受診しガンの検査を受けてください。
 子宮の入り口や内部にできるポリープはガンとちがい良性の腫瘍ですが、出血を来したり、生理の出血が多くなったりします。
 それ以外に多い出血の原因として、炎症があります。炎症をおこす原因としては、若い方の場合、クラミジアやカンジダといった病原体の感染の可能性があります。
 病気ではありませんが、妊娠できる年齢の女性では、妊娠は常に念頭に置かなければなりません。妊娠に伴う出血は流産、切迫流産、子宮外妊娠、胞状奇胎などで起こります。少し遅れて生理が来たと思ったら、出血も痛みもいつもと違う、あるいは、いつまでも出血が続くという場合には要注意です。
 年配の方では女性ホルモンの低下によって膣粘膜が萎縮し、分泌物が少なくなることによって、ちょうど手の皮脂が少なくなってひび割れや、あかぎれをおこすのと同じ様な状態でちょっとした刺激で出血を起こすことがあります。この場合は、女性ホルモンの入った膣錠を使うことによってすみやかに改善します。
 器質性出血では、婦人科以外の疾患も考えられます。例えば、性器出血との訴えで来院された方で、実は血尿だったり、肛門からの出血ということもあります。この場合は、泌尿器科や内科、外科と連携して対処します。
 これらの病気ではないことがはっきりし、また閉経前の女性であれば、ホルモンの異常による出血、機能性出血を考えます。機能性出血は図に示すような規則正しいホルモンの分泌が行われないときに起こります。時に多量の出血を来したり、少ない出血が何日も続くことがあります。ホルモン剤や排卵を促すような薬で治療します。

女性の健康 一覧に戻る >