子宮癌の話

 今回は子宮癌の話です。
 子宮癌は1年ごとの定期的な検診を受けていると高い確率で早期に発見でき、完全に治したり、子宮をとらずに妊娠・出産の可能性を残すことも出来ます。
 子宮頸癌は、子宮の入り口(子宮頸部)にできる癌で、子宮癌の70%を占めます。
 子宮頸癌の原因には、いぼを作るウイルスの1種、ヒトパピローマウイルスが深く関わっていると考えられています。このウイルスはセックスによって感染します。したがって、子宮頸癌の危険因子としては、セックス経験が多い、セックスパートナーが多い、セックスの経験が長い、などがあげられます。また、初めてセックスを経験する年齢が低くなるにつれ、10代、20代の若い方にも子宮頸癌が増えてきています。1度でもセックスをすれば、ヒトパピローマウイルスの感染の機会があり、それとともに子宮頸癌になりうるということです。症状は初期ではほとんど見られませんので、定期的な検診がとても重要になってきます。
 診断(検診)は、子宮頸部から綿棒やブラシなどで細胞をこすりとってきて、顕微鏡で調べます(細胞診)。痛みもほとんどなく、短時間ででき、高い率も高い検査です。癌になる前の状態(前癌病変)もとらえることができます。細胞診で異常があった場合は、膣拡大鏡(コルポスコープ)で観察し、子宮頸部の組織を切り取って観察する「組織診」を行ないます。
 治療はごく初期では病変の部分だけをとる円錐切除術を行なうことが一般的です。さらに癌が進行している場合には、子宮や、周りのリンパ節をとる手術や、放射線療法、抗癌剤による治療などが行なわれます。
 子宮体癌は、子宮の中の方(子宮体部)にできる癌で、近年増加しています。50代に最も多く見られます。原因はまだはっきり解明されていませんが、卵巣から分泌される2種類のホルモンのうち、卵胞ホルモン(エストロゲン)が癌細胞の発育を助長しているということは分かっています。子宮体癌の危険因子としては、月経が不順、妊娠・分娩の経験が少ない、肥満・糖尿病などです。
 初期症状は、9割近くが不正出血です。特に閉経後の出血は要注意です。
 検査は、子宮の中からブラシなどで細胞をこすりとってきて顕微鏡で調べます。多少痛みをともないますが短時間ですみます。前癌病変も含めると90%以上の診断率です。異常があれば、やはり組織をとってきて精密な検査を行ないます。治療は初期の段階では進行に応じて子宮やリンパ節をとる手術を行ないますが、子宮外に癌が進展している場合には抗癌剤による治療を行ないます。

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